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「深沢は、なんで看護婦やめたんだ? 金になるだろうに」
「絵が好きだから。」

深沢透はあっさり答えた。
いつもこうだ。こいつは、自分の意見を吐きだすことに、なんの躊躇も恐れもない。
それが時々怖いくらいに。

「昔から好きだったの。高校も美術部で。けど、美大行くには金がなかった。だから、親に相談したら、看護婦になれば一生働きながら好きなことできるって言われた。それでよ。しばらく働いてお金貯めて、いまの大学入ったの」
「絵の何が好きなんだ」
「え? そんなこと言われたのはじめて」

くるりと回る茶色い眼。
切れ長の目尻の、よく動くはしこい瞳。
深沢は一瞬だけ考え込んで、でもまたすぐにきっぱり答えていた。

「うーん。なんだろ。解放されるんだよね。強くなれる」
「強く?」
「そう。」

にっこりと、深沢はわらった。

不覚にも、俺はその笑顔に見とれる。
普段豪胆な女だけに、笑うとなかなか……カワイイのである。

「あたしがあたしに戻れるっていうか。誰の手にも届かない、あたしだけの場所に行けるの。たぶん、てんちょーにもわかる場所よ。料理をしてる時のてんちょう、同じ顔をしているわ。」
「俺が?」
「ええ。」







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want you to see an angel | top | ちかごろ

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